NOTHING IS REAL

ディスクレビュー

Zentropy / Frankie Cosmos(2014)

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Frankie Cosmosの名のもとで、Greta Klineがレコーディングを行ったのは19才のとき。

ガールズ・ギターポップ特有の可愛らしさはもちろん、曲の短さ(一番長いLeonieで2:26!)からもわかるように、かなりDIY精神を強く感じられるアルバムである。

この短さが功を奏したのか、Klineの歌声とアコースティック・ギターで素朴でやわらかな雰囲気を残しつつ、どの曲も隙のない構成になっています。

同じメロディにしても、二回目からはシンセが入ったり、コーラスが入ったり、またフレーズの終わりがスッとまとまっていたり、冗長だな〜…と思わされるところがないので、うまいなあ、という感じです。

2014年、ギターポップの流れが来るか…?というなかでのリリースでしたが、ヒップホップ、テクノ、ハウス勢が優位を占めるいまでも十分良いアルバムです!

個人的にMac Demarco、Courtney Barnett、Hindsあたりからギターポップ旋風が吹き荒れてほしかったのですがなかなか…

ことしのHostess Club All-Nighterのインディ・オルタナ祭りの流れでまた来ないかな?と期待を捨てきれないですね(笑)

Frankie Cosmos - Birthday Song http://youtu.be/XO9I2M0RUVE


サマソニは東京2日目、ヘッドライナーにRadioheadの日に行きます!あしたです!
雨のなかPyramid SongとかWe Suck Young Bloodあたりを聴きたいですね〜

Creep演ったら解散も近いという解釈でいいんでしょうか…うーん


Crumbling The Antiseptic Beauty / Felt(1981)

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UK80年代インディー・ロックシーンと言えばニューウェーヴネオアコなのだが、このFeltもその分類に含まれるバンドだ。

チェリーレッド・レコードから出されたCrumbling The Antiseptic Beautyは1stで、全6曲。

Joy Divisionを彷彿とさせるような、どこか陰鬱な表情をたたえているアルバムだ。

幕開けを飾るインスト・ナンバー、Evergreen Dazedはギター2本で演奏されているのだが、荒涼とした美しさをもつ名曲である。

5分間集中して聴けるインスト楽曲が1stに収録されているバンドって結構すごいんじゃなかろうか?

ただ、このアルバムを覆う、気だるく、暗い雰囲気は、二曲目以降、ボーカルが入ってからに顕著なように思われる。

ボーカルのローレンス・ヘイワードはThe Televisionの大ファンだったらしく、歌い方もかなり影響を受けているとあちこちで見たのだが、トム・ヴァーレインの方がまだ歌う気があるな、というのが個人的な感想です…

声質なんかはジザメリジム・リードにも似ている感じがします。

とにかく投げやりでボソボソ呟くようなボーカルがFelt特有の雰囲気づくりの鍵になっているのではないでしょうか。

ネオアコのレーベルは数あれど、こういったカラッとしたパンク寄りのDIYサウンドはチェリーレッド、強いですね!


Heavenly vs. Satan / Heavenly(1991)

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Heavenlyのファースト・アルバム、Heavenly vs. Satan!

前回のMighty Mighty同様ネオアコバンドなのだが、テイストはかなり違い、こちらはアノラック寄りのサウンドである。

軽やかなメロディ、ほどよい疾走感、それにアメリア・フレッチャーのかわいらしいボーカルが合わさって、春を思わせるようなポップな一枚になっている。

ちょっとのん気すぎる、と思う人は前身バンドでもっと性急さをもつTalulah Goshを聴いてみてもいいかもしれない。こちらはアノラック全開、Tigar Trapに近い音になっている。

このアルバムで私の思うベスト・トラックはCool Guitar Boyなのですが、これは歌詞もたいへんかわいらしく、聴けば心に春がやってきます。(笑)


And I wish he's see me
And I want him to love me
Cos I know there's heaven, heaven in his arms

A Band From Birmingham / Mighty Mighty (2000)

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NMEが出した伝説のコンピ、C86にも名を連ねたネオアコ・バンド、Mighty Mightyのシングル集。

 

ちなみにC86には、プライマル・スクリームやパステルズ、ショップ・アシスタンツの楽曲も収録されている。

 

なぜかよくわからないが、iPhoneのフラッシュ設定を解除できなくて、めちゃくちゃ反射した写真になってしまった…

こんなできそこないでもアップしなければならないほど、Mighty Mightyのアートワークは出回っていない。

つまり知名度があまりないバンドということになるのだが、それはまったく実力を反映できていない。

 

Mighty Mightyはおもに80年代中盤~後半にかけて活動したバーミンガムのバンドだ。

 

先に書いたように、サウンドはネオアコに分類されるようなギターポップである。

切れ味の良いカッティングはOrange Juiceを思い起こさせ、ボーカルはモリッシーのような荒涼とした持ち味がある。ベースのうねり具合も、The Smithが好きなら、おっ、と思わずにはいられないのじゃなかろうか。

 

傾向として、ギターポップでデビューして、セカンドあたりからストリングスやら鍵盤やらを使いだすというのはよくみられるのだが、Mighty Mightyはみごとにそれに成功している。

 

80年代はネオアコ・サウンドの最盛期で、グラスゴーやらなんやらでいくつものバンドが活躍していた時代だ。そんな中で、彼らの楽曲は群を抜いていたはずだ。

 

それから、これにはまったく根拠がないのだが(ごめんなさい)、おそらくフリッパーズ・ギターにも影響を与えていたんじゃないか?

 

アノラックなヘロヘロ・ギターポップと双璧をなすような、粒ぞろいのコンピである。

 


MIGHTY MIGHTY.(TWILIGHT.)(12''.)(1987.)

 

 

Brian Seitzer's Rockabilly Riot 2016

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しばらくあいてしまったが、ブライアンセッツアー・ロカビリー・ライオットの来日ツアー、2/22の東京公演を観てきた。

 

会場はTOKYO DOME CITY HALL、座席が決まっていて動き回るわけにはいかなかったのだが心はずっと踊りまくっていた。

 

いや、とにかくうまかった!もううまいどころの話ではなかった。

 

ブライアンセッツアーはもちろん、サポートメンバーも爆発的にかっこよかった。

 

曲はだいたい同じようなロカビリーなので、セットリストの面白さという点ではうーんといった感じだがそれでもなお観客を総立ちにさせるほどの見事なステージだった。

 

個人的にストレイ・キャッツ時代の名曲、Runaway Boys、Rock This Townを聴けたのがうれしかった…

 

ぜんぜんまともな感想ではないが、とにかく素晴らしかった。うまいの一言に尽きる。

 

それから赤と黒、ライダースとリーゼントとバンダナでキメていた人がけっこういて古き良き時代を彷彿とさせた。

 

~~

 

そういえば、これはずっと疑問に思っているのだが、なぜストレイ・キャッツはあのゴリゴリのロカビリーを80年代にやろうと思ったのだろうか。

 

 

The Jesus And Mary Chain 「Psycho Candy 再現ライブ」

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ジザメリを観た!

 
発売から30年を記念して行われたサイコキャンディ全曲再現ライブである。
 
今回はウィリアムにドクターストップがかかり、11月のシューゲイザーウェーブ(ペインズ、ライドなどが一気に来日したので勝手にそう呼んでいる)から2月へと公演時期を移した。
 
それがよくなかったのかな…
 
私はこの週にブライアンセッツァーを観に行っていたのだが、それに比べてあんまりにもヘタクソなので正直めちゃくちゃがっかりきた。
 
メンバーのやる気のなさがノイズ同様ダダ漏れであった。
 
まあ音源でもそうだし、それが魅力のひとつでもあるんだけど…
 
しかしそれがぴったりハマると、あっ、サイコキャンディだ…!となる瞬間がくるのである。
 
特にJust Like Honeyはよかった!
 
気だるい演奏とボーカルとほったらかしのノイズの中に、キャンディみたいな甘いメロディが見え隠れする、あの感じがすごくよくでていた。
 
〜〜
 
間奏で手持ち無沙汰になり、まあやっときますか程度にマイクスタンドを壊すジムの姿に、ジーザス・アンド・メリーチェインというバンドの、ヴェルヴェッツにもマイブラにもなれなかった居心地の悪い立ち位置を、ふっと思うのであった。

Leave Me Alone / Hinds(2016)

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今をときめくスペイン発ガールズバンド、Hinds!
 
ペイヴメントを感じさせるローファイさとキラキラ感はギター・ポップ復権におおいに力を貸しているように思える。
 
そしてこのHindsはパンク・ファンの耳も惹きつけるに違いない!
ギターのヘロヘロ具合といい、ツインボーカルの声質、ルックスといいThe Libertinesを思い出さずにはいられないのである。
 
たまに鬼気迫る表情を見せるところも…
 
それから、ライブ音源だと意外にドラムがどっしりしていて、ベースはちょっと湿り気がある。
 
このおかげでただ単にクリーンなだけではない音色なので、インストトラックのSolar Gapも味のあるよい仕上がりになっている。
 
決して上手くはないのだが、上手いだけがバンドの良さではないな、と改めて感じさせてくれる明るく弾けたデビューアルバムでした。
 
それからファッションがおしゃれ、PVもおしゃれ、インスタもおしゃれ、おしゃれするなら練習しろとも言いたくならなくもないが、可愛ければ全部オッケーなのかもしれない(?)。
 
 
〜〜〜
 
そういえばサマソニヘッドライナーが発表されましたね、レディへだけフォントサイズがやたらでかくて笑ってしまった…