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ディスクレビュー

Black And White / The Stranglers (1978)

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Sex Pistols、The ClashThe DamnedThe Jamと並んでブリティッシュ・五大パンク(とは言えジャムは正確にはモッズなのだが)のひとつに数えられるThe Stranglers、ストラングラーズの3rdアルバムである。
 
ストラングラーズは1974年に活動を開始、そこからメンバーの入れ替わりはあるものの一度も解散せずに現在まで活動を続けているバンドだ。
先ほど述べたとおりブリティッシュ・五大パンクのひとつに数えられるが、彼らのサウンドはパンクと呼ぶにはあまりに精密である。
 
その精密さを最もよく表しているのがデイヴ・グリーンフィールドの弾くまとわりつくようなキーボードだ。オルガンの音がするから、という理由でよくドアーズThe Doors)と並べられたりするが実はけっこう差がある。ぜひ聴き比べてみてほしい。
 
ストラングラーズは、しかし、キーボードだけではない。
 
ヒュー・コーンウェルの荒っぽいボーカルと鋭いギター・カッティング、ジェット・ブラックのパンクでは珍しいややタメのきいたドラム(彼の名はアニメ、カウボーイビバップのキャラクター名の由来にもなっている)、そしてジャン=ジャック・バーネルのメロディアスでやたら音のでかいベースが合わさってできた、荒削りなようで実は計算され尽くされている化け物のようなバンドなのである。
 
このBlack And Whiteはこれらの要素をガツンとぶち込んだような作品だ。
 
まず一曲目からぶっ叩くような重戦車ベースが暴れまわる!キーボードがチョロチョロ出たり引っ込んだりするのもたまらない。
 
 
二曲目以降ももちろん素晴らしい。
 
レゲエ、ファンクの要素を取り入れながら、彼らなりの解釈を加えニューウェーヴにまで昇華させている。しかも終始ヒリつくような危ない雰囲気をまとっているのである…
 
ジャン=ジャック・バーネルが三島由紀夫ファンなこともあって、日本を題材にした曲も収録されているのもなんとなく嬉しいところ。
 
ただ、サムライの国を期待する彼は日本の若者に対しては辛口である。
 
"Don't smile so much,it can make you blind."(あまりヘラヘラするなよ。メクラになっちまうぜ。)